鶏の発酵飼料
鶏に近い野生の鳥類は腐葉土や地面を掘り返して、発酵・腐敗したものをよく食べるそうです。人間の腸内フローラと同じで、鶏の健康にも微生物とその働きが必要なのでしょう。うちで鶏を飼い始めた当初から利用してる発酵飼料をご紹介します。

1. 材料 2. 作り方 3. 失敗したこと 4. 利用・保存・管理 5. 良いところ 6. 終わりに
米ぬかとおから、牡蠣殻石灰
発酵飼料のタネ
豆腐屋さんからもらうおから
1. 材料

発酵飼料のタネは知り合いの養鶏家さんからいただきました。米ぬか、籾殻、くず米はうちで栽培したお米のものです。ただ、量が少ないので、なくなったら地域の方からいただいてきています。牡蠣殻石灰のみ市販品です。おからは知り合いの豆腐屋さんから廃棄するものをいただいています。おがくずはうちにはないので入れていませんが、入れると良いそうです。くず米、雑穀等はあれば、消化しやすさを調整するためにも入れます。

腐葉土は、中にいる多様な微生物こそが主役のようなものなので、ぜひ入れたいところです。特に発酵飼料のタネがない時は入れた方が良いと思われます。うちは発酵飼料の中には時たま入れる程度です。鶏舎の床には直接大量に入れています。 分量は、
おから : 米ぬか : 籾殻 : くず米 : 牡蠣殻石灰 : 塩 = 3 : 4〜6 : 1 : 2 : 0.3 : 0.1

配合する際の注意点は、手で握った時に固まりにならない程度の水分量にすることです。うちは、おからの水分量が毎回違うので、米ぬかの量で調整しています。また、粉っぽいものが多いと消化に良すぎるので、雑穀などの消化しにくいものを適度に入れています。この辺りは鶏のふんなどの状態を見て調整していけば良いと思います。
2. 作り方
材料を混ぜます。順番等は特にはありませんが、うちの場合はおからのダマを潰すのが大変なので、おからと米ぬかをはじめに入れ、ダマをなるべく早めに潰しておきます。後述しますが、この時に大きいダマを残しすぎると、腐敗の原因になると思われます。ただ、すべてのダマを小さくなるまで潰すのは難しいので、ある程度までで大丈夫だと思います。知り合いの養鶏家さんからいただいた発酵飼料にもダマはありました。 材料を全て混ぜ終わったら手で握ってみて水分量を確認します。微生物のの活動には適度な水分が必要ですが、多すぎると腐敗しやすい環境となってしまいます。先述のように、固まりにならずにボロボロと崩れる程度が良い状態です。さらさらとしていて水分が少ないようなら水を加えます。逆に水分が多すぎるようなら、米ぬかやおがくずなどを加えて調整します。

材料を混ぜ終わり、水分量も確認したら、山にして保管しておきます。翌日には手を入れると暖かくなっています。量が少ないと中心温度が上がりにくく、発酵も進みにくくなるので、上からむしろなどをかけて保温します。
全て混ぜ終わった飼料
3. 失敗したこと
うちで一番初めに発酵飼料を作った時、作った当初はとても良い発酵をしていたのですが、1週間ほどしたら足の裏のような匂いがしだしました。おそらく腐敗しはじめていたのだと思います。原因は、①おからの大きなダマが残りすぎていたこと、②全体の水分量が多かったこと、③毎日の攪拌が不十分だったこと、④保存期間が長かったこと、だと思われます。
量を多く作りすぎた結果、攪拌もしにくくなり、保存期間も長くなってしまいました。

メモ:水分はなるべく少ない方が良い。なるべく早く使い切る。発酵は好気性。
4. 利用・保存・管理
発酵が始まったらすぐに使えます。鶏が食べきれる量を餌入れに入れてあたえます。前日の食べ残しは鶏舎の床(土の床)にばら撒きます。鶏は土を掘って餌を探す習性がありますし、床も微生物が多い状態を保つ方が良いと思われるからです。そのため、定期的に床に腐葉土や稲わらをたっぷり入れています。 うちでは発酵飼料の他に緑肥を与えています。天気が良い日は放し飼いにしているので、鶏たちは地面を掘って何やらいろいろと食べています。

うちでは材料をつぎ足しながら毎日撹拌して管理しています。量を作りすぎると管理しにくくなり、先述の失敗の原因になるので、残りが適量になるくらいに作っています。材料のつぎ足しをしないなら、発酵後はなるべく早く使い切った方が良いと思います。腐敗せずとも、発酵が進みすぎると消化しやすくなりすぎるからです。
5. 良いところ
  1. 鶏の自然な食性に近い。
  2. 消化に良くなる。
  3. 発酵ってなんかいい感じがする。
  4. みじかな材料で作れる。地域の食物残渣を利用できる。
6. 終わりに
いろいろと書きましたが、私たちの鶏飼育はまだ日が浅いですし、完璧にできない時もあります。発酵飼料が全然発酵しないままあたえている時もあります。間違っていることもあると思うので、参考程度にしていただけたらと思います。ただ、鶏が産んでくれる卵は家族や買ってくれる方の口に入るものなので、鶏やヒトにとって良くないものは与えない、ということだけには十分注意しています。
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